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当クリニック院長 石塚俊二が医療を中心に情報発信
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34 つながり

一般的に人々の社会的なつながりには“強いつながり”と“弱いつながり”があると言われています。
“強いつながり”を持つ人々は、家族や親友、職場の上司や同僚などで、“弱いつながり”を持つ人々は友達の友達、たまたま何かの機会に知り合った人などが挙げられます。

 

スタンフォード大学の社会学部教授のグラノヴェタ-によれば、つながり(紐帯)の強さは、
1.ともに過ごす時間量
2.情熱的な強度
3.親密さ(秘密を打ち明け合うこと)
4.助け合いの程度
の4つの要素で定義できるとしている。

 

つながりにもそれぞれの特徴がある。
例えば、仕事の転職時は、多くの人が人のつながりで新しい仕事を見つけていて、その時には“弱いつながり”をきっかけに仕事を見つけた人の方ほうが満足度が高いとも言われています。
なぜ“弱いつながり”で見つけた新しい仕事の方が、満足度が高いのでしょうか。それは、「強いつながり」を持つ人々は生活環境や価値観が似通っているため、自分と同じ情報を持つことが多いからと言われています。
またその人の性格や能力をよく知っているので、その人でも思いつくような仕事しか紹介してくれないということも考えられます。しかし“弱いつながり”を持つ人は、その人のことをよく知らないがゆえに、まったく未知の仕事を紹介してくれる可能性があります。それで失敗する可能性もありますが、自分でも気づいていない新たな適正を発見できる可能性もあるそうです。

 

スマートフォンを操作している女性のイラスト

「強いつながり」をもつ集団は、外部と遮断され、新しい情報が入って来づらいとも考えられます。
それ故、今、「弱いつながり」が注目を集めています。これはインターネットの普及、ソーシャルメディアの普及があるためです。一般的には、ネットやSNSは“弱いつながり”の形成を促進していると考えられています。
一方、ネットはむしろ“強いつながり”を作るメディアだと論じている人もいます。確かに、同じ思考や価値観の人々が、“強いつながり”を持ち、ネット上で力を奮っている様子はしばしば 見かける光景です。

 

では、医療現場ではどのようなつながりであるべきなのでしょうか。
患者さんの病気を診る上でその患者背景、例えばこれまでの生活環境や仕事内容や個人の性格なども知ることが病気の理解や治療に必要なことも数多くあり医師はそれらを確認しなければなりません。
しかしそれを積極的に話す方もいれば、あまり話したくない方もおられます。
また、外来診察では、新患の方から何年も通院されている患者さん、在宅医療でも数ヶ月から20年以上往診している患者さんなど様々な病気で治療され、個々の患者さんが求める医療も様々であります。

 

たくさんの科を回って来られ当院をその科の一つとされている方。
大学病院のような大きな病院の専門科を主として当院では比較的病状が安定されている疾患の診察にこられる方。
一方、当院以外はあまり他の科を受診されたくない高齢者。
これらを考えると、病院やクリニックにおいて医師と患者さんのつながりはどのようなつながりを構築するべきかと“医療のつながり”を考えると複雑で混沌としていることもあると思います。
このことに対する答えの前に、僕自身、医療に対する一つの基本的な考えがあります。

 

医師と患者さんの診察風景のイラストまず、医療は人同士の会話から始まる。会話のない医療は存在しないと思う。会話の中で病気の本質を捉え、その人の考え方や生活環境やまた、人となりを知っていく。それによって人を知り医師はその人の最善、最良の治療が見えてくるのである。
その為に大切なことは、医療人は受け身が基本であると思う。まずは、患者さんの話をよく聞き、病気への心の叫びを知ろうとする気持ちが重要であると思う。気づきが大切であると思う。
現代は多くの疾患に診断基準がありそれに対する標準治療がある。この基準だけで治療するならどの医師が治療しても治療効果はあまり変わらず、日本全国どこで治療しても結果はおよそ同じである。
それが治療の普遍性でありその確立は重要であるとも言える。

 

同じ程度の疾患で治療差が病院によって大きく異なれば患者さんの治療に対する利益は損なわれる。画一的な治療だけでは病気の患者さんの心の安心は得られないことも多い。
治療の最重要は心に委ねられる。患者さんを知るために、医師は受け身の状態ですべてを受け止めそこからその人を感じなければならない。その感じ方がお互いの中で理解でき信頼関係が自然に生まれてくるときに、初めて患者と医師の“強いつながり”が形成されると思う。
医療の場合だけは、一般社会での上述した“強いつながり”“弱いつながり”で割り切れるものではないと思う。
表現することが難しいが、医療のつながりは心の結びつきであり、時には強く、時には弱くもなる流動的なものだと思う。

医師と患者はこのつながりが弱いままだと治療はうまくいかないし、逆に強すぎてもお互いが疲弊してしまうことがある。
病気も良くなったり悪くなったりすることに合わせてつながりも流動するものだと思う。つながりは結果である。
この医療のつながりまでAIやロボットが網羅していくかはわからないが、人の気持ちに合わせた医療は特別で大切にされてほしい思う。

 

令和5年6月:いしづかクリニック 
院長 石塚 俊二

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