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西宮市の内科|いしづかクリニック-院長ブログ|35 在宅診療アシスタントとともに

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当クリニック院長 石塚俊二が医療を中心に情報発信
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36 在宅医の別れ

約20年間在宅診療に携わっているが、これまで数多くの患者さんと出会いがありました。
病気も多様であり、癌の初期から終末期、脳の変性疾患や筋萎縮性側索硬化症などの神経疾患、脳梗塞、心筋梗塞などの血管障害、大腿骨骨折後の整形外科疾患など通院が困難な患者さんなど患者さんと時間を共にしてきました。

お子さまの在宅医療イメージ

 

医療の必然ではあるが出会いがあれ分、それだけ別れもありました。ほとんどの患者さんとは自宅で天寿を全うするまで一緒に語り合いながら過ごすのだが、時には病院や施設に移られそこで天寿を迎えたことが報告されることもあります。
しかし、時には転居することで患者さんと離れることがあります。この転居で別れることは家族の事情も様々で仕方がないことであるが、僕にとっては、病気以外の理由で患者さんと別れることは一番つらく嫌でもある。

 

今年、転居にて10年間一緒に在宅医療に携わったお子さんと別れが突然にやってきた。
5歳の時に出会って、15歳になったお子さんの成長を在宅医として今日まで診させてもらった。本来私は成人の在宅医であまりお子さんを診ることは少ない。しかし偶然の出会いで在宅医となり、子供の在宅医療を通じて、この子とその家族より多くのことを教えてもらい私の診療スタイルも大きく変化してきた。
そのお子さんは出会った時から笑顔を絶やさない子であった。ベッド上で呼吸器装着しているが、訪問時は“こんにち”、帰るときは“またね”というといつもハイタッチでニコッと挨拶をしてくれる。性格は明るく努力家で前向きな性格に尽きる。
小学校に入ってからは自らの宿題を毎日、予習復習を欠かさず夏休みの課題も決まった勉強をしないと気が済まないという頑張り屋さんである。
インフルエンザやコロナの予防接種の時も痛みもあって顔をしかめているが泣かずに一生懸命に我慢して受けてくれ、医療人まで気遣う心優しい素直なお子さんであった。また、ご両親も在宅医療に非常に協力を惜しまない方である。
お母さんは、お子さんに係わる学校や医療のすべてに積極的に精力的に取り組まれており学校と在宅医との連携もご自身で連絡もしていただき非常に円滑に学校内との情報共有を行えることが多かった。

本来、医療機関が連絡すべきことでも前もって連絡をしていただき何度も助けられました。

 

こんなエピソードが一つあります。

小学校に入る前に支援学校では呼吸器、吸引器、経管栄養の併用の重症の患者さんの受け入れの経験はなく入学に多くの問題がありました。例えば、登下校は他の市では呼吸器装着のお子さんは看護師によるタクシーの同乗が義務付けされているところもあるのだが、その市ではまだそのような制度はありませんでした。
毎日、母親が自身の乗用車で呼吸器を積み込み、取り外しを行い、約40分かかる支援学校に送り、午後には迎えにいくのは、現実的には困難を極めどのように登校するかを私も苦慮していました。しかし、ご両親は嘆くばかりではなく何度も学校や市担当職員と話しその必要性を説明し、最後は県知事さんに嘆願書をお父様が送り、私も署名し送ったこともありました。在宅医療で家族の愛のイメージイラスト
その結果、そのお子さんがパイオニアとなりそれ以降の入学する呼吸器装着のお子さんは、タクシーの送迎がなされるようになりました。また、在宅医にとって基幹病院の主治医との連携は緊急入院なども含め非常に重要でありますが、普段の診察時でも両親が伺い病院主治医と話した後は、その内容を必ず在宅医に伝えてくれて、このご両親からの受診内容のお話で、病態の詳細なup to dataが理解されるようになっていました。
この連絡で病院主治医と情報共有や入院のタイミングも比較的円滑に行うことができました。
こんなこともあり、私もご両親とお話をするのが非常に楽しみでした。
ご両親もお子さん同様にいつも明るく、お子さんに降りかかる問題も冷静に捉えて前向きに解決策を在宅医と考えていくような方であり、僕としては頭の下がる思いで一杯でした。また、兄弟は3人おられますが、予防接種の時はベッドの周りで兄弟が集まってお子さんにエールを送るという、みんなで寄り添う愛にあふれた本当にすばらしいご家族でした。
在宅医療で家族の愛が終結されると困難なことも乗り越えていけるのだと実感しました。
その状況で治療に携われたことは在宅医冥利に尽きると感じながら訪問診療を続けてきました。ありがとうと言う思いで一杯です。
あっという間の10年間であったと感慨深く思う毎日です。

 

令和5年8月:いしづかクリニック 
院長 石塚 俊二

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